
漫画家のひらたけ婦人さんにインタビュー!
自分の内面と向き合いながら漫画を描き続けているひらたけ婦人さん。
漫画を描くことで自分を表現し心のバランスを保っていた幼少期のこと、傷ついたり悩んだとき相談することの大切さなど、ご自身の経験からお話して下さっています。
インタビュアーはニンジャ寺子屋ワールドを作ってくださったメタバース建築士のゆきこさんです。
YouTube:【ニンジャ寺子屋】漫画家・ひらたけ婦人インタビュー
ひらたけ婦人さん
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ひらたけ婦人にインタビュー
ゆきこ まずはひらたけ婦人がどんな方か、私から簡単に紹介させてください。漫画家の平田京子さん、ひらたけ婦人さんです。代表作として『ハケンの品格』『ブスの瞳に恋してる』(コミカライズ版)、2つとも皆さんきっとご存じの作品ですよね。あと『一番星』っていう漫画を代表作として描かれてます。商業誌で活躍されているひらたけ婦人が今日来てくださって、私はすっごい嬉しいと思ってます。
たくさん発信活動をされていて、ラジオのアプリのVoicyでパーソナリティもされてます。私、このVoicyのひらたけ婦人のすごいファンで、毎回更新されるたびにまた喋ってくださってる!ってすぐチェックをしてました。
そしてInstagramですね。たくさん無料で漫画を出してくださっているので、ぜひフォローして読んでくださーい!
ひょんなことからご縁がありまして、ひらたけ婦人とお話しさせていただく機会をいただきまして。ひらたけ婦人と直接お話しさせてもらった時に、すごく生き方がかっこいい大人がいるなっていうことを感じて。
私みたいな大人じゃなくて、もっと若い人たちに、こんな生き方の人がいるんだなってことを伝えたくてニンジャ寺子屋の授業をお願いしたところ、心よく引き受けて下さいまして、今日このイベントを開催することができました。
こうやって一方的にお話を聞くことじゃなくて、質問したりおしゃべりしたり、そういうところで「本当にいる人なんだ!」っていう実感みたいなものが感じられるんじゃないかなって思ってて。
インタビューの後の質問コーナーがすごく私の中ではいい機会になると思っているので、質問をぜひぜひ考えておいてください。
じゃあすいません、ここからひらたけ婦人、自己紹介をお願いします。
ひらたけ婦人 はい、よろしくお願いします。漫画家のひらたけ婦人と申します。もともと平田京子っていう名前で漫画家をしていて、ひらたけ婦人っていうペンネームで活動し始めたのは、2、3年前くらいからです。
デビューしたときは21歳だったので、もう20…え?27年?なんかそのくらいはとりあえず漫画家をしています。28年から9年かな?だいぶ長いこと漫画家として暮らしています。
最初に漫画家としてデビューしたときは、私、ホラー漫画なんですよ。だから怖い漫画を描いていたの。ずっと少女漫画を漫画雑誌に投稿してたけどデビューできなくて、それでホラー漫画でたまたまデビューしちゃったもんだから、最初はホラー漫画家なんです。
ゆきこ えー!そうなんですね。
ひらたけ婦人 そうなんですよ。で、いろんなお仕事をしていて、もちろん『ハケンの品格』とか『ブスの瞳に恋してる』の漫画も描いたけど、とにかく30年近く漫画家をしているからいろんな漫画を実は描いています。
で、プライベートでは今はバツ2ですね。結婚2回して、2回離婚して、シンクルマザーで子どもが1人います。息子は重度知的障害って言って、頭の中が2歳半から成長しないっていうずっと幼児みたいな男の子のお母さんです。息子は高校2年生です。その息子と二人暮らしをして暮らしています。
ゆきこ 波乱万丈ですね。本当に波乱万丈の人生、そしてお話しさせてもらった時のこの声の温かさ。私は完全にファンの立場から今日はインタビューさせていただきます。
漫画家になりたいです。どうやって漫画家になりましたか?
ひらたけ婦人 私が漫画家になりたかった時ってすごい昔なんですよ。30年前とかの話になっちゃうから。私が子どもの頃は漫画を描いて漫画雑誌に投稿して、デビューが決まったら漫画家になるというシステムだったんですね。
最初多分(少女漫画雑誌の)『りぼん』に投稿して、何回も何回も漫画雑誌に投稿して、21歳でやっとデビューしたんだけど、それまでに作品を21本描いてます。だから21本の漫画を投稿してやっと漫画家になったので、多分他の人よりもいっぱい漫画を投稿してなったんだと思うんですよ。
ゆきこ 21本ってすごいですよね。何年ぐらいの間に21本なんですか?
ひらたけ婦人 私、小学校6年生が初投稿なの。おませ。
ゆきこ えー!おませですよね。
ひらたけ婦人 おませで。
ゆきこ だいたい何ページ描く必要があるんですか?
ひらたけ婦人 16ページでした。
ゆきこ わお。大変ですよね。
ひらたけ婦人 私、その頃から量産型でいっぱい描く人だったんですよ。だから漫画の投稿もしながら他にもいっぱい漫画を描いて、みんなに漫画を読んでもらってたんです。読んでもらうことがすごく好きで。
その頃からクラスのお友達に、お友達をモデルにした漫画を描いてみせるっていうのが好きで。すごい量の漫画を描いてはみんなに見てもらうってことは今もやってるけど、昔もやってたんです。だからずっとそういうことばっかりやって生きてるんです。
ゆきこ そうなんですね。生きている間ほとんど漫画を描いているという感じですね。
ひらたけ婦人 そうですね。本当に描くことも好きだし、読んでもらうことも好きなんですよ。
ゆきこ 全く嫌になることはないですか?
ひらたけ婦人 それが、私本当にないんですよ。本当にずっと描けるの。
ゆきこ それはすごいことですよね。
ひらたけ婦人 だから好きなものがあったら、本当にみんなやった方がいいと思ってて。ずっとできることってなんかあるじゃん、ゲームでもいいし、YouTubeを見続けることができたら、もしかするとそれが仕事になるかもしれないし。なんでもいいんだけど、ずっとできたらそれが一番強いからね。一番それがいいと思う。
ゆきこ そうですよね。嫌にならないっていうのは本当に好きなことなんですよね。
ひらたけ婦人 だと思います。今の時代はSNS、InstagramとかTwitter(X)とかそういうところに漫画を描いて自分で発表できるから、漫画雑誌に投稿しなくてもいいと思うんですよ。
どこでもいいから自分が描いたものを見せる、どんどん描くっていうことだと思うので。描き続けることが一番大事だから。どんな形でもいいから描いて見せるっていうことを怖がらなかったら、私、漫画家にはなれると思うんです。
ゆきこ そうですね。昔に比べたら投稿しなくても、すぐに雑誌に載らなくても人目につくようにできるっていうことですよね。
ひらたけ婦人 続けてると勝手になれるって私が思ったのがね、最初みんな漫画家なんかなれないよって言うけど、どんどん描く人がいなくなるの周りに。みんな続けられなくて。だから続けてるだけで勝手に人が減っていくから、自分だけ残るくらいの気持ちになって。
ゆきこ なるほど。
ひらたけ婦人 だって私今49歳だから、49歳で漫画を描いている人なんかいないから、大人になってまで。大人にいないからもう少ないし。でも私キャリアだけは長いから、要は続けていくっていうだけでも才能の一個なんですよ。ずっとできる才能だから。
あと今の時代怖いのが、批判する人がいっぱいいるから、悪口言われることが出てくると思うんだよね、漫画を描いたりしていると。それでも折れずに描き続けるっていうハートがいると思います。
ゆきこ 人に作品見てもらうと、どうしても悪口言う人出てくるんでしょうかね?
ひらたけ婦人 そう、あのね、最初の頃はそんな言われないかもしれないけど。逆にね、上手になってくると嫉妬する人が現れるんですよ。だからちょっと上手くなってきたら逆に悪口言ってくる人が出てくるから、あ、こいつ私のこと羨ましいと思ってるんだって思ってもらっていいんだけど、その時が大変、つらい。
ゆきこ あーすごい、いいこと聞きましたね。悪口言われたら、あ、この人は私のこと羨ましいんだって思ってください若い方、っていうことですね。
ひらたけ婦人 そうそう。でも描き続けてると、もっと上手くなると、今度は悪口言う人が減ってくる時期も来るんだよ。みんなよりも上手いから、あからさまに。
だから描き続けてると、みんなよりも届かないぐらい上に行けば、聞こえなくなってくるから、とにかく何言われても続けるっていうことは、一個のすごい力なの。
だからそこを頑張ってほしい。それまでやれるようになるとお金も稼げると思うんですよ。
ゆきこ ありがとうございます。漫画家になりたいなら、とにかく続けることっていうことですね。
いじめられています。大人に相談しても解決しませんでした。
ゆきこ というお悩みに応えていただけないでしょうか。私たち大人もいい加減なことをしてしまうことがあるので、こういう思いを持ってしまう子どもたちもたくさんいると思います。
ひらたけ婦人 いろんな状況があると思うんだけど、まずね、今の状況が永遠には続かないっていうことなんですよ。自分の世界はここだけしかないって、その時は思ってしまうかもしれないけど、1年後には全く違う世界にいるかもしれないし、全然違う場所に、人が変わるとか状況が変わるとかになるかもしれないから、まず、今が永遠じゃないっていうことを思ってほしいなと思ってて。
私は子どもの時にね、あんまり楽しくなかったんですよ、全部が。私多分まず学校が苦手で、集団生活が苦手で、なんか私、幼稚園が一番嫌いだった。幼稚園、小学校、中学校、高校、全部楽しくなくて、早く家に帰って漫画を描いていたいと思ってたんですよ。なんでかわかんないけど、いつもその場所に馴染めないなと思ってて。
でも20歳過ぎたぐらいから楽しくなったのね、人生が。
私は多分子どもが向いてなかったんだと思うんですよ、子どもの時に。
だから自分にとって向いてる時代って子どもの時だけじゃなくて、20代が楽しい、30代が楽しい、40代が楽しいってみんな違うからね。
子どもの時に人生がすごく辛くても、それが終わったら実はすごく楽しいことがあるかもしれないから、まず今が全部じゃないっていうことと、あとね、大人に相談したっていうことはね、その時点であなたはね、すごく素晴らしいんですよ。一番大変な、つらい人は、人に相談ができない人だと思うんです。
ゆきこ たしかにそうですね。
ひらたけ婦人 相談できない人は、もう声に出して感情を説明することもできないっていう人、そういう人よりは強い人だと思うのね、相談してるっていうことはね。だからもしできるのであれば、やっぱり誰かに相談し続けてほしいなと思ってて。
絶望しないでほしいんだよね。あなたの周りにいる大人がいい人ばっかりだったら私もいいなと思うけど、残念ながら悪い大人というのも存在します。
だから諦めないでまた違う誰かに相談してほしいなと思うし、相談窓口とかに電話してもいいと思う。どこかしらにできたらもっと相談し続けてほしいし…。
あのね、助けてくださいって言わないとみんな助けられないんですよ。困ってないのかなと思うし、逆に大丈夫って言ったら失礼かなって思うこともあるし。
でも助けてくださいって言う人には手を貸しやすいから、助けてくださいって言えるあなたは強いし大人で立派だと思うので、だから助けてくださいって言えることをまずえらいっていうことをね、分かってほしいなと思ってて。
ゆきこ 本当その通りですね。なかなかたしかに、子ども時代が向いてないってすごい名言だなって思いました。
やっぱり子どもの頃って、子どもの時代が全てだと思っちゃうと思うんですけど、たしかに今のまんまが続くんじゃないんだよってことは、なかなか言ってもらわないと気づけないことですね。
ひらたけ婦人 いろんな場所をできたら作ってほしい。もちろんニンジャ寺子屋さんみたいなところでもいいし、自分の過ごす場所の世界を1個にしない。何個か自分の世界を持っておくといいと思います。
ゲームの中でもいいし、パソコンの中でも構わないから、自分の世界を1つだけに狭めないことが大事だと思います。
ゆきこ ニンジャ寺子屋が子どもたちのサードプレイスになるとすごくいいですね。いろんな場所があると、ここだけじゃないんだなって思えるし。場所もそうだし、時間も経ってしまったら、大人になったら大人が向いてる人もいっぱいいると思いますね。
ひらたけ婦人 あと逃げてもいいってことも覚えてていいと思う。頑張らなきゃって思うよりも、無理と思ったら逃げるっていうのも大事だから。逃げてもいいんだよ無理な時は。だって無理だから。
私は無駄に頑張らなきゃって思うタイプだったから、今になったら逃げればよかったってことは何個かあります。危ういところまで行ってしまったことが何回かあるから、あれは早く逃げればよかったって思うんですよ。
結局逃げなかったことでみんなにもっと迷惑かけてしまうとか、なっちゃうから。私が一人で何とかしなきゃって思うと、なんともならない時はなんともなりません。
ゆきこ そう、なんともならない時はなんともならない。逃げましょう。
ひらたけ婦人 逃げましょう。もう全力で逃げていいです。
ゆきこ 分かりました。逃げましょう。誰かに相談して、そしてどうにもならなかったら逃げて、それでもどうにもならなかったら時間が経つのを待ちましょう。ありがとうございます。
ひらたけ婦人 そうそう、コメントでもあるけど、チャイルドラインとかいろんなところに相談窓口があって、電話かけるところね。周りの人が何もしてこなかったら、そういうところに電話するのもいいと思う。何かで動いてくれる人がいるはずだから、どこかには。
ゆきこ そうですね。みんな大人たちは助けたいって思ってます。
ひらたけ婦人 大人たちって子どもたちに対して優しくしたいとか、愛を持ってる人はいっぱいいるので、そういう方に一人でもいいから出会ってほしいなと思います。子供のうちに。
ゆきこ 本当ですね。敵ばっかりではないですね。
ひらたけ婦人 悪い人もいるのは残念ながら現実だけど、いい人もたくさんいるから。一人でもいい大人に会ってもらえるといいなと思います、子供のうちにね。
ゆきこ 本当そうですね。いろんな大人に会ってください。
ひらたけ婦人の子供の頃はどんな人でしたか?
ひらたけ婦人 私ね、すごい暗かったんですよ。幼稚園の時に、なんで思ったか覚えてないんだけど、世界中が私のことを嫌っていると思って泣いてたんですよ。なんであんなに暗かったのかわからないんだけど、いじめられてて、私もね、幼稚園の時。小学校低学年まで。場面緘黙症って言って、幼稚園に行くと全く喋れなくなっちゃうの、ストレスで。
で、私、多分みんなと違うんでしょうね。なんかいつも浮いちゃって、なじめなくって。
うちのお兄ちゃんとお母さんが私のことを悪く言うタイプの人だったのね。抑えつけちゃうタイプの人だったから。それを信じ込んでて、私はもうバカで、ブスで、デブな、ひどい、醜い人間だと思い込んでたんですよ。だから目立たないようにして生きていきたいと思ってたんですね。だからもう暗くて。
漫画は好きだから、漫画だけは描いてたのすごく。でもその頃は多分、現実逃避にも使ってたんだと思うんですよ、漫画の世界がね。今の自分から逃げる道具として漫画を描いてたりもしたと思うんですよ。
で、小学校4年生から急にお笑いキャラになったのね。
ゆきこ 何があったんでしょう?
ひらたけ婦人 それが覚えてないんですよ全く。ただ覚えてないから何かあったのかなと思うけど。でもそこでみんなに笑われていれば私は受け入れられると思い込んじゃって。ゴリラの真似をしたりとか。ウケをとる。そこから方向を間違い始めて。
でも私、元々本当は結構女の子っぽい性格だったので、かわいい格好とかお姫様っぽいのが好きだけど、そういうことをしたらお兄ちゃんとかお母さんから似合わないとか、ブスがかわいい格好して逆に気持ち悪いとか言われるから、面白い感じになれば受け入れられると思って、自分の中の女の子のかわいい部分を押し込めてお笑いキャラになることで受け入れられ始めたんですよ。
だから本当の自分と外の自分がバラバラみたいなことになって、それはそれでちょっと間違った思春期を過ごしてしまって。
ゆきこ 悪気なく、ちょっと昔のお母さんって自分の娘を悪く言う人ってたくさんいましたね。
ひらたけ婦人 いましたね。あの頃は特にね。
ゆきこ そうですね。今に比べてもそういうお母さんが多かったように記憶してます。結構傷つくんですよね。
ひらたけ婦人 そうなの。だからそんな風にちょっとね、普通に生きていけばいいのに、なんかいろいろ歪んじゃったんだろうね。
ゆきこ なんだか悪気なく言ったにしてもひどく心に残ってますよね。
ひらたけ婦人 そうなんですよ。ただ私の場合、めちゃめちゃ漫画を描くということが得意で好きだったので、自分の感情表現として漫画を描けたので、だから少女漫画をずっと描いてたんです。私の中の乙女心は、もう漫画でぶつけたんですよ。描きながら自分の気持ちを表現するということはできたから、多分バランスが取れてたと思うんですね、いろんな心の。
なんだかんだで漫画を描くことで、私は心のバランスを取りながら生きていくこともできて、何かにつながっていったのですごく大事なことだったんです。漫画を描くことが私にとっては。描かなかったら死んじゃうみたいなぐらいのことになっていってしまって。
ゆきこ 自分の表現が漫画だったんですね。
ひらたけ婦人 うん、そう。だから子供の頃は暗い人でした。
ゆきこ そうだったんですね。
ひらたけ婦人 途中からは本当は暗いのに明るく無理やり見せる人になりました。今になって、49歳の今はもうちゃんと本当の自分に戻ってきてる感じがするんだけど、本当の自分になるまでに時間がすごくかかった気がします。
ゆきこ そうなんですね。だから子供時代が向いてないとおっしゃってたのにつながるのかもしれませんね。
ひらたけ婦人 そうですね。
ゆきこ なるほど、ありがとうございます。漫画でもその私生活をあらわにしてくださっているひらたけ婦人が、またこのインタビューで私生活をいろいろ公表していただいて、ありがとうございます。若い人たちの勇気にちょっとでもつながったら嬉しいなって…思います。
(コメントを見て)子育て世代の人も今の話役立てましょうって本当そうですね。
ひらたけ婦人 大人って何の気なしに子どもに対して悪口を言ってしまうことが結構あるなと思ってて、子どもってそれで傷ついたりもするから。
ゆきこ そうですね、私も悪気なく言ってることあるなって思いました。今の話を聞いて。謙遜なんでしょうけど、謙遜にしてもちょっとひどいことをしているなと反省しました。
ひらたけ婦人 だから皆さんはできたら人を傷つけることは言わない方がいいと思うんですよ。相手のためにも良くないし、自分のためにも結局良くないからやっぱり人に対して優しくするっていうことは大事なことだなと思うし、優しいことが言えない人はその人の話は聞かなくていいと思うんです。そんな思いやりも持てない人の話を聞くことはないと思うんだよねって、今になったら思います。
質問コーナー(コメントや会話から一部抜粋)
(コメント)自分の作り出したおちゃらける自分は本当の自分じゃない、みたいなのに気づき始めたのはいつ頃なんでしょうか?
ひらたけ婦人 最初漫画を描いている時って自分の思ったことを描くというよりもやっぱり誰かの真似をして描いたりしているんですよね。好きな漫画家さんの真似をしたりとか、何かで読んだことを描いたりとか、そういうことをして楽しくただただ描いているんだけど。
プロを目指したりすると、編集部に漫画を持って行ったりすると、なんでこの物語を描いたの?とか、このキャラクターはどういう気持ちなの?とか聞かれた時に答えられなくて。最初の頃ね。え、なんかそういうもんじゃないの?みたいな。
もうちょっとまじめに自分の言いたいこととか描きたいものとか自分の好きなものを描くと、逆に今度はこんな男好きな人いないでしょ?って言われたりすると、えっ!?と思って。私が好きなタイプを描いたらいないの?とか、傷ついたりとかするので。
だんだん自分は何を考えているんだろうとか何を伝えたいんだろうってことを漫画で描くようになっていったり、もしくはすごく嫌なことがあったらそれをネタにして漫画にしたりとか、自分の気持ちと漫画がどんどん深くリンクしていくようになって。そうすると自分の心に嘘がつけなくなってくるっていうのかな。
だから漫画家を目指し始めて、漫画家としてデビューし始めて、もっとどんどんプロとして活動していく時に、魂からの心がこもっていない漫画は面白くないからどんどん自分の内蔵をさらけ出すようなものをちゃんと描かなければっていうプロ意識がどんどん自分を見つめていくことにもなっていくので。
多分漫画家になってからの方が自分と向き合うっていう本当の描き方をしていて。
それまではもうちょっと楽しく描いてた感じ。でも途中からはもう修行僧のように自分と内観しながら漫画を描いていくみたいなつらい作業になっていくんですよ。漫画家がプロになるとね。
(コメント)漫画を描くことで自分ととにかく向き合っていて、その中でだんだんだんだん本当の自分ができたっていうことですね。
ひらたけ婦人 そう、私の場合はね。もちろん漫画によってはすごいファンタジー漫画とかもあるから、そういう人はとにかく妄想力が強い人とかイケメンがいっぱい出るのが得意な人とかもいるから、私はたまたま自分自身に向き合う漫画が得意だったので、好きだったんだと思うんですよ。そういう方向に行く作家になったんだと思うんだけど、これはもういろんな作家さんのタイプがあるので、自分に向き合わなくてもいいと思うんだけど。
でもやっぱりある程度自分のことが分かってないと、人の心に届くものが描けないっていうところがあると思います。
ゆきこ 作品を作るっていうのはすごく自分と向き合うことだと思うんですけど、その作業がしんどくなることはなかったんですか?表面的なことだけ見ても全然暮らせると思うんですけど、どんどんどんどん掘り下げることがつらいなと思ったことはないんですか?
ひらたけ婦人 それが私は自分と向き合うことが好きというタイプの変態なんですね、多分。心理学とか脳科学かの本も好きだったんだ元々。 だから自分が何を考えているかってことがすごく興味があるんです、自分に。
ゆきこ なるほど。漫画を描くのもずっと描き続けるのも苦手じゃないし、自分を省みることも全然苦手じゃないんですね。
ひらたけ婦人 そういうタイプの変態です。ドMなんだなっていう。
ゆきこ なるほどなるほど。皆さんも変態的になれるぐらいずっと続けられることがあると、こんな風になれますね。
ひらたけ婦人 突き抜けると多分いいんだと思います。私、いろんなことができないし下手くそなんですけど、一芸に秀でているタイプだったから、漫画を描くことと自分の心に向き合うことに関しては永遠にできるっていう変態なんです。
ゆきこ いやー、皆さんもこれならいくらでもできるよーっていう話とかも聞いてみたいです。
(コメント)どんなタイプの男の人が好きか気になります。
ゆきこ しゃべれる範囲内でお願いしてもいいですか?
ひらたけ婦人 話すと1時間くらいかかる(笑)私これで人生失敗してるんですよ。ダメな男ばっかり好きになるっていう失敗をね、ずっと繰り返してるから。
ゆきこ 漫画で読ませていただきました。皆さんもちょっと後で漫画を読んだら、もうこと細かーに描いてありますので。
ひらたけ婦人 そうなんですよ。もうね、ダメな男ばっかり好きになるダメな人なんです。
ゆきこ すべてを包み込んでしまう、ダメなところもついつい許してしまう懐の深さがあだになってしまいますね。
ひらたけ婦人 そうなんです。ダメな人を見ると、私が何かしてあげなきゃとかなるのか、私だったらもっとよくしてあげられるのにとか、思い込んだりしちゃうんだろうなと思って。
最近だからもういろんなこと経験して、自己犠牲はいけないって一生懸命頑張ってるところです。自分を尽くしちゃう。自分のことを犠牲にして尽くしちゃうっていうのが、私のいけないところだと最近強く反省しまして。
ゆきこ でもお話のトーンとか話されている内容とか、私からしたらすごく癒されて、ダメな自分でも許してもらえそうっていう癒しのオーラをすごく感じてまして。救われてる人もいますよということだけ伝えさせていただきます。
ひらたけ婦人 私の癒しのオーラでダメな奴がすげー集まってくる。
ゆきこ 集まっちゃうんですよ、絶対。これも言ってもいいかなーって思っちゃいます。雰囲気で。
ひらたけ婦人 そう。私、なんか会ったばっかりの人からすごい悩み相談されるのが得意で。そんな深い悩みを?さっき会ったのに?みたいな。
ゆきこ 癒し効果でダメな人も集まってきてしまうんですね。でもわかる気がします。
(コメント)自分と向き合うことは相手と向き合うことに繋がりますか?
ひらたけ婦人 自分と向き合うことは相手と向き合うことに繋がります。あのね、自分と向き合うことの好きな変態の私からするとね、だいたい相手に対してイライラすることとかって自分自身の問題を映してることが多いんですよ。
だから例えば旦那さんと喧嘩してるとかね、そういう時にイライラすることを考え抜くと、自分自身のコンプレックスに繋がったりとか、なんか自分のウィークポイントと繋がったりすることがすごく多いから、自分がやっぱりご機嫌で自分のこと好きでいると、結果向こうとの関係も良くなるとか、だいたい繋がりますよ。自分を良くすることは何かしらに。
なので私は、何かあったらなるべく自分の何を変えればいいんだろうみたいなことで向き合って生きてきました。…そんなことしてる割にバツ2だから合ってるかどうか分からん。
ゆきこ いや、でも本当にそれは思いますね。深く考えてみたら、相手じゃなくて原因は自分にあったってことすごくありますね。
ひらたけ婦人 そういうことが分かったら、漫画に使える~と思って漫画に使います。
ゆきこ 漫画に繋がるんですね。
ひらたけ婦人 そうそう。だからどんな失敗しても嫌なことがあっても、全部漫画に描けばいいやって思えるから、人生に無駄がない感じがするんですよ。全てがリサイクル可能みたいな感じがする。良い人生だなと思って。
ゆきこ 良い質問でしたね。相手のことを掘り下げることは、相手に向き合うということは自分に向き合うことに繋がるんでしょうか?という質問に対しては、繋がりますということです。ありがとうございます。深いです。
ひらたけ婦人 よく言うけど、人は変えられないけど自分は変えられるから、相手を変えようとするよりは自分の何かを変えていこうってほうが良い気がします。
ゆきこ そろそろ時間になりましたので、一旦お開きにしようかと思います。今日は本当にひらたけ婦人ありがとうございました!
ひらたけ婦人 ありがとうございました!